パズル&ドラゴンズ

<閑話>

契約龍の過去【滅雷龍】

故郷を滅ぼした幻魔を討ち、たったひとりの家族であるガディウスを護りたいと願ったティフォンにより、滅雷龍・ドルヴァは封印の鎖から解き放たれた。
ティフォンと契約を交わし、互いの魂に触れた瞬間。
ドルヴァがわずかに懐かしんだ理由を、ティフォンはまだ知らない。

契約龍の過去【浄雷龍】

兄であるティフォンに憧れを抱き、兄を超えるための力を欲したガディウスは浄雷龍・セディンの力を奪おうとした。
そしてセディンもまた、ガディウスの燃えるような魂を喰らおうとした。
互いが欲しいものを奪い取るために交わした契約は、徐々に魂の形を歪ませていく。

契約龍の過去【煌兎龍】

かつて大切な友を護るために煌兎龍・フラグレムと契約を交わした少女がいた。
それはフラグレムだけが覚えている、橙龍契士・サリアの前世。
今度こそその願いは果たされるのだろうかと、フラグレムは未来を予想する。

契約龍の過去【溟鮫龍】

かつて溟鮫龍・トアはひとりの少女と契約を交わしていた。
しかし少女の願いは果たされる事なく、契約は娘であるリューネへと引き継がれる。
生まれながらの龍契士として与えられた「還爪の力」を、リューネがどんな願いをもって使うのか。
トアはそれのみに関心を示していた。

契約龍の過去【嵐鷹龍】

生まれる前の今にも消えそうな魂の前に現れた嵐鷹龍・クァージェは、生きとし生ける生命が皆持っている“生きたい”という願いを利用してシルヴィと契約を交わした。
何故クァージェはシルヴィを選んだのか。
その裏には、退屈凌ぎの玩具を求める風龍王の影があった。

転界龍の過去【緋空司】

護ろうとした全てを失い、苦しみ荒ぶる龍神となってしまったひとつの魂。
彼を救ったのは、かつて失った筈の緋龍喚士・ツバキだった。
荒ぶる龍神は彼女によって鎮められ緋空司となり、ツバキと共に転界の緋空を守護する。
己の名を喚ぶ存在を、もう二度と失いはしないと心に決めて。

転界龍の過去【藍海司】

藍海を守護する龍神、藍海司・ワダツミ=ドラゴンは、かつて嵐を鎮めるために海底へ降りたツバキを再び緋空へと解放った。
それは彼が我が子のように育てた藍龍喚士・スミレが初めて己の名を喚び望んだ再会への手助け。
定められた運命を覆してみせた天真爛漫なスミレに呆れながらも、友人のために力を尽せる彼女をワダツミ=ドラゴンは誇りに思っている。

転界龍の過去【碧地司】

龍神に寄り添うツバキのように、運命を覆したスミレのように。
いつか自分も師の名を喚びたいと修練に励む碧龍喚士・カエデのことを、碧地司・ヤマツミ=ドラゴンは大切に慈しみ見守っていた。
けれどヤマツミ=ドラゴンは、彼女が自身を召喚しなくてはいけないような事態など起こらなければいいとも思っている。
碧地を守護するヤマツミ=ドラゴンが本当に望んでいるのは、己を護る龍喚士の力ではなく、弟子であるカエデと過ごす平穏な時間だった。

6月の夢

「友人を救うためと言ってイルムに唆された愚か者を止めてほしい」
ガイノウトとの約束を果たす為、ガディウスは協力をかって出た悪友と共に純白の衣装を纏って教会へと乗り込んだ。
髪をおろし、美しく着飾った悪友が周囲を引き付ける中、ガディウスは標的であるサリアを担いで豪快な逃亡劇を繰り広げる。

「礼を言う。が、もっと丁寧に扱え!」

サリアの育ての親であるガイノウトは自身の叫び声で夢から覚めた。

真夏の休暇

久方ぶりに聖域の守護から解放されたミルは、とある誘いを受けて砂浜へと足を運んだ。
そこで待っていたのは、浮き輪を抱えた龍騎神の秘蔵っ子、ナビィ。
「聖域や龍神の守護も今日はお休み。たまには羽目を外して遊ぼうよ!」
渡された水鉄砲を構え、ミルは夏空の海辺で狙撃手となる。
(今日くらいは、使命を忘れて夏を満喫するのも悪くない)

いつか過ごすかもしれない聖夜

ソノ肉ヨコセ!
ふっざけんじゃねぇコレはオレのだ!
もー暴れないでよ危ないなぁ。

わーいプレゼント!
よかったなリィ。
くっ、料理の腕を上げたなガランダスめ……!

魔導書から飛び出す楽しげな絵は、どこかの誰かが、いつか過ごすかもしれない聖夜の一幕を映し出したもの。
そんな本達に囲まれて、イルミナは生まれて初めての「クリスマス会」を体験する。
「クリスマスはみんな仲良く美味しいお料理を食べたり、素敵な贈り物をするんですよ!」
そう教えてくれたのは、お揃いの真っ赤な衣装に身を包み“お忍び”と称して書庫へやってきた友人。
「メリークリスマスですイルミナちゃん!」
「……メリー、クリスマス」
満面の笑みを浮かべるロミアを前に彼女は少しだけ頬を赤く染めて、渡されたプレゼントをきゅっと抱きしめた。

おつかい

おつかい

龍王からの頼みを受け、スオウは稀代の細工師とうたわれるチュアンの創玉殿に足を運んだ。
彼が依頼したのは、龍王の力を宿した“龍玉”の制作。
チュアンはにやりと笑みを浮かべて承諾する。
「ただし、龍玉の元になる龍王達の力や必要な材料はそっちで集めてもらわにゃね」
彼女の条件にスオウは二つ返事で了承した。

夜の飲み会

閑話【夜の飲み会】

美しく空に浮かぶ満月を肴に、スオウは自慢の大盃を傾けていた。
そんな彼の隣にヴァレリアとチュアンが腰を下ろす。
「彼女から聞いたぞスオウ、龍王から届け物を頼まれたらしいな。しかもその品、チュアンに創らせたんだって?」
「あぁ、奴等の大事な子等に贈り物だとさ。最初は面倒だと渋ったんだが、秘蔵の酒を出されちゃ断れねぇよなぁ」
にやりと口角を上げる彼に、ヴァレリアはお前らしいと笑みを浮かべる。
そんな二人をよそに、チュアンは早々に自前の盃を突き出した。
「ムフフ、龍王の秘酒なんて滅多にありつけないからねぇ。仕事の報酬にゃぴったりだ。ほらスー、早く注ぎなよ」
「へいよ」
スオウは彼女の盃になみなみと注ぎ、ついでにヴァレリアの分も手渡しながら世間話を続けていく。
「そういや、ヴァレリアの所も厄介なことになってるらしいじゃねぇか」
「ムフ、教え子が多いとお世話が大変だねぇ」
「そんなことはないぞ? 皆、私の可愛い弟子達だ。だからこそ、できるなら彼女達が争うような事態は避けたいと思ってしまうな。私もまだまだ甘い」
「なーにを今更。ヴァーレは昔っから飴ちゃんよりも甘々だったじゃないか」
空いた杯に次の酒を注ぎながら突っ込む彼女に、ヴァレリアはそうだったかと笑みをこぼす。
「まぁなってしまったものは仕方がないから、あの子達の頭に拳骨でも飛ばしてくるさ」
「そりゃあ良い、せいぜい泣かせてやんな」
「ムフ、拳骨で足りなけりゃワガハイがハンマーでもこさえてやるよ。叩くと音がするヤツでさ」
静かな夜に軽快な笑い声が響く。
三人は美味い酒を堪能しながら、これから会いに行く者達へ思いを馳せていた。

翌日早朝。
「スオウ! このバカ! 放っておいたらすぐベロンベロンになりやがって!!」
「あーあー、ウチの教官も一体どんだけ呑んだのかねぇ……」
そろって潰れた二人に、文句を言いながら回収する少年少女の姿が目撃されたとか、されなかったとか。
「ムフフ、二人ともまだまだだねぇ」

オトモダチ

閑話【オトモダチ】

ほの暗く静かな空間で、ディステルは静かに書物を読みながら考え事にふけっていた。
多少の邪魔は入ったものの必要なものは手に入り、龍覚印も天城に集まりつつある。
もうすぐ彼を継界へと帰還させることができる。
ディステルはそっと胸の上で揺れるペンダントに触れた。
「……貴様とて、本当はもう一度彼に会いたいと思っているくせに」
「なぁんのこと?」
無意識のうちに呟かれた言葉に、あるはずのない返答が返ってくる。
それは脳裏に描いていた、貧弱で情けない眼鏡顔の声ではなかった。
「何をしに来た、ロシェ」
考え事を邪魔され、冷ややかな声を浴びせる。
しかし彼女はお気に入りのドリンク(チョコミントの様な味らしい)を手に、クスクスと笑い声を響かせる。
「クフフ、お散歩してたらディスがボケっとしていたから声をかけてあげたのよ。ひとりぼっちは寂しいものねぇ。アタシが構ってあげなくちゃと思って」
「余計な世話だ」
「それで? さっきのは誰に向かっての言葉なの?」
「人の話を聞……貴様には無理か」
一度ノリだしたら止まらない性質にため息を吐くと、ディステルは無視することを決めて開きっぱなしの書物に目を向ける。
「クフ、フフフフ! さっき独り言をつぶやいていたアンタね、とっても切なくて気味が悪い顔をしてたのよ」
ひどい言われ様だが知らぬふり。
そんな彼に構わず、ロシェはおかしそうに笑みを深めた。
「クフ、クフフ。誤魔化したってダメよ。だってアタシは知っているもの。アナタのその顔はね……オトモダチのことを考えているときの顔でしょう」
ピクリ。
“友達”という単語でわずかに反応を見せたディステルに、彼女は歓喜の表情を見せて両手を大きく振り上げる。
バシャリと手にしていた飲み物が音を立てて零れ落ちた。
「わかる、わかるわディス! アタシには貴方の気持ちがよぉく理解できる! さぞ気持ちが悪くて苛々して吐き気がするでしょう!? ああ、ディスも一緒なのね」
「……私が貴様と一緒だと」
氷のように冷たい瞳がロシェを貫く。
けれど彼女は凍えることなく、袖に隠れた手でディステルの頬に触れる。
「だってアタシもオトモダチのことを考える時、同じ顔をしているもの。アタシを一番に選ばなかった、可愛くて憎らしいあの子のことを考えるとね」
そう言って、ロシェは狂ったように笑い声をあげた。

「……勝手にそう思っているがいい。そしてロシェ」
「なぁに?」
「貴様が盛大に零した飲料、全て私の服に飛び散っているのだが?」
「……あ」
ほの暗い静かな部屋に、ぽたぽたと雫が滴り落ちていた。

閑話【愚痴会?】

閑話【愚痴会?】

満月が綺麗な夜のひと時。
互いに腐れ縁を主張するスオウとヴァレリアが酒盛りをしている間、いつも彼等の側についている者達は美味しいご飯に舌鼓をうちながら、それぞれ普段は言えない(本人に言っても効果がない)愚痴を言い合っていた。
「スオウの奴またオレ達の目を盗んで酒飲みに行きやがって! 旅の費用だって馬鹿になんねぇんだぞあの飲んだくれ野郎!」
ドン! と机にグラスを勢いよく叩きつけるアルファに、オメガがびくびくと肩を震わせる。
(ちなみに中身は果実を使って作られたジュースである)
「ア、アルファ、落ち着いて……」
「うるせぇ! 大体お前がなんでも間でもうんうん頷くからあのバカが調子に乗るんだ!」
「う、うぅ……。だってスオウ様が欲しいって言うから。お、お役に立ちたくて……」
「だからってオレが寝てる間に、財布の中身全部酒に変えてんじゃねぇぇ!」
やけ酒ならぬやけジュースのごとくがぶがぶとグラスの中身を飲み干すアルファ。
そんな彼に苦笑しながら空いたグラスに追加を注ぐのは、龍喚士としてヴァレリアから教えを受けているヴィゴだ。
「スオウ殿のお世話、大変そうだなアルファ君」
「でもオメガちゃんに当たっちゃダメでしょ。女の子は大事にしなさいよね」
泣きそうな彼女をあやしながら、ウィゴと同じ師を持つミラがアルファを注意する。
どこか天然気のある直属部隊隊長の姉と違いしっかりした性格で、小さなオメガを傍で庇っていた。
「アンタらの所は良いよな、ヴァレリアさん美人だし、ボンクラじゃないし」
「いやぁ、そーんなことないからね」
羨まし気なアルファの言葉を否定したのは、ヴィゴ達と同じ弟子のリエトだった。
「確かにウチの教官は美人だけど、そーとー気まぐれで無茶苦茶な人だよ。なぁヴィー」
「ハハッそうだな。前も修行だって言われて、魔物の巣に武器なしで放りこまれた時は死を覚悟したっけ。まぁ良い経験だったよ」
「でも師としては尊敬すべきお方よ。武器の手入れやご自分の怪我には疎くて、家事スキルも皆無だけど。それでも戦場で剣を振るう教官は誰よりもカッコいいんだから!」
「いやそれフォローになってなくねぇ?」
聞いてみればお互いそう大差はなく、怒りが萎えていったアルファは小さいため息をつく。
そんな彼に、リエトは苦笑しながらポンポンと頭をたたいてやった。
「でも、そんな相手から離れようとは思わないんだから、どうしようもないよね」
「……うるせぇ」
悪態を吐くけれど否定はしない。そんなアルファに、オメガはくすりと微笑む。
手のかかる者ほど放っておけないとはよく言ったものだ。
そんなことを考えながら、彼等はそれぞれが仕える大人達を思い浮かべた。

その翌日、酔い潰れたスオウとヴァレリアの後始末に駆り出され、やっぱり放っておいたほうが良いんじゃないかと思う少年少女の姿があったとか、なかったとか。

閑話【あの頃の仮装祭】

閑話【あの頃の仮装祭】

遠い昔。まだドラゴンフォレストの館が、温かな家族の笑顔で溢れていた頃。
マイネはお世話になっているイデアル達を楽しませようと準備を進めていた。
「イデアル様達をびっくりさせるのです! いっぱいガオーしましょう!」
大きな着ぐるみを被り、手作りのお菓子をバスケットに詰めながら、大好きな人の笑顔を思い浮かべる。
(いっぱい楽しくして、みなさまを笑顔にするのです!)
……けれど。
『オ菓子ダ、オ菓子! 早ク食ベタイヨ!』
『遊びたーい! イデアルさまとヴァンドさま何処かなー?』
『へへっ、オイラがあの坊主にお菓子を渡してやるんだ!』
「わわ!? みんなダメなのです、待ってください~!?」
マイネの準備が終わるのを待てず、いたずら好きのドラゴン達はお菓子を手に飛び出してしまった。
急いで追いかけなければ、せっかく内緒で準備した仮装祭がイデアル達にバレてしまう。
「絶対に捕まえてみせますです!」
マイネは決意を胸に、ドラゴン達を追いかけようと一歩踏み出した。
……動き辛い着ぐるみを着たままで。
「は、はわわわっ!?」

しばらく経った頃。
「ねぇマイネ、チビ達が僕らの所にお菓子を持ってきたんだけど……マイネ?」
「あらあら……」
ニコニコ笑顔のドラゴン達を抱えたイデアルと白いフードの子どもが部屋を覗くと、着ぐるみ姿のマイネが床でぐるぐる目を回しながら倒れていたのだった。

マイネ

閑話【いつか過ごすかもしれない聖夜Ⅱ】

閑話【いつか過ごすかもしれない聖夜Ⅱ】

全テヲ鍋ニ……。
クフフッ。ディス、そのキノコとっても美味しいわよぉ?
……私は一体何をしているのだろうか。

今日は~楽しい~クリスマス~ってな。サンタの爺さん早く来ねぇかなー。
スオウお前、子どもの姿になってまでプレゼント貰おうとしてんじゃねぇ!
えへへ……サンタさんからのプレゼント、楽しみだなぁ。

よーし今日は無礼講だぞぉぉ!!
わわ、教官少し落ち着いてください……!
まったく、これだからウチの教官は……あいてっ。
まぁ良いじゃないか、今日くらいは。

どこかの誰かが過ごしているかもしれない聖夜の一幕を映し出す魔導書。
賑やかな本達に囲まれながら、イルミナとロミアは互いに贈り物を手渡した。
ロミアからは、お揃いの手袋と手製のぬいぐるみを。
イルミナからは、持ち主が思い描いた絵が飛び出す魔導書を。
「ありがとうイルミナちゃん! ずっとずっと大事にします」
「私も……ありがとう」
嬉しそうに笑うロミアを前に、イルミナは手袋に包まれた両手でそっと頬を包み込む。
「……あたたかい」
その時彼女が見せた表情を、ロミアはずっと忘れない。
二人の幸福に満ちた時間を、聖夜限りの厳ついサンタクロース達が微笑ましげに見守っていた。

閑話【トリック&トリート!】

閑話【トリック&トリート!】

「いいかお前ら。イタズラか菓子か……なんて相手に選ばせるような甘っちょろさは捨てちまえ。せっかくの祭りなんだ、めいっぱい楽しまねぇと損だぜ」
「は、はい! スオウ様!」
「いい返事だオメガ。それじゃあさっそく教えたセリフ言ってみるか。せーのっトリック&トリートォォ痛ぇ!」
「勝手にセリフ改変してんじゃねぇよ馬鹿スオウ!」
べしんっ!
小気味良い音とともに、可愛らしい肉球がスオウの頭をひっぱたいた。
軽い刺激に顔を上げれば、そこには狼耳つきのフードをかぶったアルファが眉間にしわを刻んでいた。……格好がいつもより数倍子どもらしいので怖さは半減している。
「オメガに何くだらねぇこと教えてやがんだこのダメ大人!」
「えー、だってせっかくのイベントだぜ? 年に一回の盛大な祭りを楽しむためには、イタズラも全力でやりきって、なおかつ菓子もたらふくゲットだろ!」
「わ、私もがんばりますっ!」
「やめろオメガ、がんばらなくていい!」
「よぅし、じゃあまずはヴァレリアんとこの弟子にでも仕掛けにいくぞー。特にあの紫頭の奴が良い反応しそうで楽しみだぜ」
「人の話を聞けー!」
アルファの叫びを綺麗に無視して、スオウは何に使うつもりなのかわからないカボチャの山で訪問する相手を選んでいく。堂々とイタズラができるからか、今日の彼はいつもよりハイテンションになっていた。
これはもう止められない。
名前の挙がった数名に心の中で謝るアルファの裾を、ちょいちょいと小さな手が引っ張った。
「あの……アルファはお祭り、参加したくない?」
魔女の衣装に身を包んだオメガが心配そうな眼差しを向けてくる。
その手には魔女の杖と、イタズラに使うカボチャの籠。
どうやら彼女もこのお祭りを楽しみにしているらしい。アルファの良心がぐっと痛む。
「わ、私、アルファと一緒にお祭り楽しみたい……」
一生懸命自分の気持ちを伝えようと頑張っているオメガに、アルファは少しだけ沈黙した後……。
「あーもう、わかった! やるからには、とことんやってやるからな!」
吹っ切れたような言葉とともに、オメガが持っていた籠を自分も手に持った。
「行くぞオメガ! どうせならスオウの奴には思いつけねぇようなイタズラを考えて、アイツを驚かせてやろうぜ!」
「う、うん!」
年相応の笑顔を見せながら、お菓子とイタズラに溢れたお祭りへ向かっていく。
二人が考えた“イタズラ”がどんなものだったのかは、この言葉を告げられた人だけが知っている。
「トリック&トリートだぜ!」
「と、とっておきのお菓子とイタズラ、楽しんでくださいねっ!」


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※パズドラクロス・TVアニメーション等の設定とは異なります。